相続放棄をする場合に遺品整理をしてはいけないのか
1 遺品整理と「財産の処分」
相続放棄をしようと考えた場合に、財産の処分をしてしまうと、そもそも財産の処分は、相続をして初めて可能となる行為であることから、単純承認事由に該当してしまい、相続放棄ができなくなってしまう可能性があります。
遺品整理の場合、「遺品」に財産的価値がある場合には、取得や処分をしてはならず、財産的価値が無いものについては良いことになりますが、財産的価値をどう判断するかはケースバイケースとなります。
判断に迷った場合には、専門家に相談しましょう。
2 遺品の内容の整理(形見分けとしてもらう場合)
例えば、故人や家族の写真や、アルバム、卒業証書等の思い出の品で、かつ、財産的価値が無い物(相続財産清算人が付いたとしても、換価され得ないもの)については、取得しても問題ないことが多いです。
次に、故人が身に着けていた貴金属や洋服、カバン等については、相続財産清算人が換価を検討しうる物ですから、買い取り業者等に売却が可能であり、一定程度の値が付きそうな物については、取得しない方が良いでしょう。
売却しても値がつかないが、夫婦が学生の頃に初めてプレゼントした廉価なネックレス等であれば、いわゆる形見分け(上述した写真と同様に、思い出の品を分ける)として許容されるケースもありますが、相続放棄が無効となるリスクを孕む判断であるため、慎重に考える必要があります。
3 遺品の内容の整理(ゴミとして処分する場合)
故人が賃貸物件に居住していた場合に、よく問題となるのは、故人の物を捨てて、部屋の中を綺麗にして良いのかということです。
取得せず捨てる場合であっても、上述した、財産的価値があるかないかという観点から同様に考える必要があり、基本的には中を綺麗にせず、放っておくほうが良いでしょう。
古い衣服や使い古した家具等しかなく、絶対に財産的価値がある物は無いと確信を抱いている場合であっても、後から家の中に財産的価値があるものはなかったと示すことも難しく、債権者が家の中に価値あるものがあると期待していた場合には、部屋の中を綺麗に処分してしまっていると、いらぬ疑いや争いのもとになる可能性もあります。
生活保護を受けていた人が亡くなった場合の相続放棄 遺産分割の期限