相続財産調査
弁護士に依頼した場合の相続財産の調査方法
1 財産調査の重要性
相続において、別居していた親や遠縁の親戚が亡くなられた場合には、亡くなった方がどのような財産を持っていたか、どれくらい借金があったかは分からないこともあります。
もしも借金があることを知らずに相続をしてしまうと、亡くなった方の借金を返済しなければならないことになりうるため、一大事です。
また、他の相続人から「財産はこれだけだから」と言われて遺産分割協議書に判子を押してしまうと、後から隠されていた財産が見つかっても手遅れになる可能性があります。
そこで、相続の際には事前に財産調査をすることはとても重要です。
2 預金口座の調査
遺産相続の中心になるのが預金口座です。
しかし、亡くなった方の銀行口座がいくつあるのか、口座番号が何番か分からないというケースは珍しくありません。
このような場合でも、他の相続人の同意が無くとも、銀行に照会をかけると、その銀行にある亡くなった方名義の預金口座の番号や残高を全て教えてもらうことができます。
また、金融機関によって異なりますが、過去10年間であれば通帳のお金の出入りも教えてもらうことができます。
これにより、借金の存在や他の相続人による遺産の使い込みが判明することもあります。
ただし、照会は銀行ごとに行う必要があるため、どこの銀行に口座があるか分からない場合は、当たりをつけて複数の銀行に照会する必要があります。
例えば、「昔、利用していたことが確実な銀行」や、「郵便ポストを探して、手紙等が届いている銀行」は、口座がある可能性があります。
また、「亡くなった方のご自宅近くにある銀行」や「大手銀行」も、預金口座を作っている可能性があるといえます。
3 株式・有価証券等の調査
株式等についても、どの会社の株式をどれだけ持っているか分からない場合、それを購入した証券会社に照会をかけることで調査が可能です。
仮に、どの証券会社に口座があるかわからない場合は、証券保管振替機構に問い合わせることで、一括で調べることもできます。
4 土地と建物の調査
遺産相続のもう一つの中核となるのが土地と建物です。
土地や建物などの不動産については、区役所・市役所に問い合わせると、その区・市にある亡くなった方が所有していた不動産を教えてもらえます。
もっとも、違う区・市にある不動産はその区役所・市役所に行かなければいけません。
・固定資産納税通知が届いている区役所・市役所
・お住まいの地域の区役所・市役所
・かつて住んでいたことがある地域の区役所・市役所
など、どこに不動産があるか当たりをつける必要があります。
もっとも、稀に投資目的で縁もゆかりもない土地の不動産を購入・所有していることもあるため、自宅にある資料や郵便ポストはよく確認する必要があります。
5 借金の調査
借金は、ある程度は網羅的に調査することができます。
CIC(Credit Information Center)、JICC(日本信用情報機構)、全国銀行個人信用情報センターという3つの機関に問い合わせると、亡くなった方の借金を一覧で出してくれます。
預金や不動産と違い、これは複数の銀行やローン会社にまたがって一覧を出してくれるため、とても便利です。
ただし、個人や会社からの借金がある場合や連帯保証をしてしまっている場合は、この調査では見つけることができないため注意が必要です。
6 財産調査には戸籍集めが必須
このように、他の相続人に許可を取らずとも、財産の調査は可能です。
もっとも、調査に際しては依頼者の方が相続人であることを証明するために戸籍を集める必要があります。
相続人であることを証明するための戸籍は、1通だけでは足りず、戸籍をたどって集める必要があります。
弁護士であれば、職務上の権限で戸籍を取り付けることができるため、戸籍収集を弁護士に任せることが可能です。
7 財産調査でお困りの際はまず専門家に相談を
財産調査は網羅的にやらなければなりませんが、やるべきことが多く複雑です。
当法人にご相談いただいた場合は、何をどのような順番で行うかをご提案し、財産調査のプランをお伝えいたします。
また、自宅にある資料のご提供などをお願いする場合も、お伺いした事情から「このような資料が~にあるのではないか」等、分かりやすくご説明いたします。
財産調査については、当法人までご相談ください。