法定相続人がいない場合の手続き
1 被相続人に法定相続人がいない場合の対処法
お亡くなりになられた方に、もともと相続人となる人がいないということや、相続人全員が相続放棄をした結果、相続人がいなくなるということがあります。
このような場合、被相続人の遺言が存在していれば、その遺言の内容に従って遺産に関する手続きをし、遺言が存在しなければ相続財産清算人選任の申立てを行って、相続財産清算人に遺産の管理・処分をゆだねることになります。
以下、それぞれについて説明します。
2 被相続人の遺言の有無の調査と手続き
被相続人の自筆証書遺言を持っている場合や、預かっている方がいる場合には、相続人以外の方に遺産を遺贈する旨の記載がないかを確認します。
もし遺贈する旨が書かれている場合には、金融機関や法務局で受遺者が遺産を取得するための手続きを行います。
自筆証書遺言の存在が確認できない場合、公正証書遺言の有無の調査も行います。
平成元年以降に作成された公正証書遺言であれば、公証役場で検索することができます。
公正証書遺言が存在することがわかった場合には、自筆証書遺言の場合と同様に遺贈の手続きを行います。
なお、自筆証書遺言や公正証書遺言の有無については、後述する相続財産清算人が選任されてから判明することもあります。
3 相続財産清算人の選任申立て
被相続人の遺言の存在が確認できない場合、家庭裁判所で相続財産清算人選任の申立てをすることで、遺産の管理や処分が行えるようになります。
参考リンク:裁判所・相続財産清算人の選任
選任された相続財産清算人は、まず被相続人の財産や負債、相続人や受遺者の有無を調査します。
相続財産清算人は、被相続人の自宅等で遺言の有無を調査することや、公証役場における公正証書遺言の検索手続きも行うことができます。
受遺者がいることが判明した場合には、遺産や負債の全部または一部を引渡します。
受遺者がおらず、遺産が属する人が不存在である場合には、相続財産清算人は被相続人の負債の弁済、特別縁故者への財産分与の検討などを行い、最終的に残った遺産を国庫に帰属させる手続きを行います。