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相続税の外国税額控除とは

  • 文責:所長 税理士 岡安倫矢
  • 最終更新日:2025年12月12日

1 相続税の二重課税を防ぐための制度

被相続人や相続人の住所地や居住期間によっては、外国にある被相続人の相続財産にも相続税が課されます。

同時に、相続財産が存在する国においても、相続税に類似した税が課されることがあります。

これが起きると、同じ財産に対して日本と外国の両方で税が課されるという、いわゆる二重課税の状態になってしまいます。

このような状況を解消するため、外国で支払った相続税類似の額を、日本の相続税額から一定限度まで差し引くことができる、外国税額控除という制度が設けられています。

2 外国税額控除の対象となる部分

外国税額控除の対象となるのは、相続財産がある国の法律に基づいて、実際に納付した相続税類似の税です。

3 外国税額控除の計算方法

控除することができる金額は、外国で納めた相続税類似の税額と、日本で課税される相続税額を一定の計算式で按分した限度額(相続税額×外国に存在する財産額÷相続人が取得した財産額)とを比較し、少ない方となります。

外国で収めた税額の方を控除する場合、日本円に換算する必要があり、具体的には、外国の納付期限または送金した日のTTSで換算した金額になります。

4 外国税額控除を受ける際の手続き

外国税額控除を受けるためには、相続税申告の際に、「外国税額控除額の計算書」というものを用います。

その際、外国で課税された税を支払ったことを証明する資料(外国の申告書等)も提出する必要があります。

これらの手続きを適切に行うことで控除が認められ、本来支払うべき相続税を収めることになります。

5 相続税申告を専門家に相談・依頼する重要性

外国税額控除は、制度の存在目的は単純明快ですが、実際に適用をする際には、多くの専門知識やノウハウが必要とされます。

必要な資料の入手や翻訳、控除額の計算などは容易ではないことも多く、適切に控除を受けられなければ、本来払わなくてよい税金を余計に負担することになってしまいます。

外国税額控除に限らず、相続税の申告には複雑な財産評価や特例の適用が求められ、適切な処理ができないと過大な相続税を支払ってしまうことにもつながります。

相続税に関して少しでもお悩みがある場合には、まずは相続税を得意分野とする税理士に相談することをおすすめします。

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